議論のウソ

議論のウソ (講談社現代新書)
議論のウソ (講談社現代新書)

権威のつくウソ、研究者が陥りやすいウソについて、すっきりまとめられていた。

pp.58-61
権威に訴える虚偽(論点の虚偽)

    • 権威者を引き合いに出して、根拠のないことをいかにも正しいことであるかのように見せる
    • より学術的・専門的な言葉で表現して実際より重々しく値打ちがあるように見せる
    • 論理的には関係ないのに、価値的に高いと一般に思われている考え方を引き合いに出す
    • すぐに格言を持ち出し、自分の説を権威づける
    • 権威者・著名者・高名者が支持していることを引き合いに出して、自説の証拠にする
    • 「昔から」「誰でも」という理由で、主張を根拠づける
    • 十分に論理的な関係付けをしないままに、ある特定の理論や思想を持ち出して自説の理由付けにする

研究方法に関する虚偽

  1. 観察に関する虚偽
    • 観察すべきことを丁寧に見ないこと、あるいは先入見から都合のよい事実だけに着目してしまうことから生まれる虚偽
    • 観察した事実とそれに基づく推論とを混同してしまう虚偽
  2. 記述及び説明に関する虚偽
    • ある結果の原因を一つに帰する論法
    • ある原因が別の原因の結果に過ぎない場合(A<原因>→B→Cなのに、B→C)
    • ある結果が、特定された原因に伴う別の原因によるものであったという場合(A→B<原因>→Cなのに、A→C)
    • ある結果の原因を偶然その場に居合わせた別のものに求める場合

権威に訴える虚偽に関しては、これら全てを用いないでは本はかけないだろう。
とりわけ人文系の場合は、根拠が全て失われてしまう可能性だってある。
もちろん自覚的にならなくてはいけないし、ウソはいけないけれどね。